乳がん経験者用下着はどこが違うの？

「乳がん経験者用」として売られている下着は一般のものと比べて一体どこが違うのでしょうか？

◉ 前開きブラ

「前開きブラ」であれば「素材の内側は綿100％」「大きめのパッド受けがある」「縫製部分が肌に当たらない」「締めつけないようにアンダー部分が工夫されている」「伸縮性が高い」等々の細かな工夫がされています。

「乳がん経験者」さん自身が開発したり、大抵が「乳がん経験者」さんの声をいかして開発されているので、それを買っておけばとりあえず間違いがないかも？という安心感もあります。

一方で「乳がん経験者用」として売られている商品と同じくらい工夫された一般製品というのも売られています。

「乳がん経験者用」だからといってそれが自分に合うかどうかはまた別の話で、とりあえず「乳がん経験者用」の製品を買ってみたけれど、結果的に一般に売られている製品の方が自分にとっては良かった、ということもあります。

ですので、「乳がん経験者用」にこだわる必要はないですが、これから受けられる治療法やそれをいつまで使うのか、ご自分の生活スタイル等を考えつつ、自分にとって必要な「機能」のあるもの、そして何より「快適」に過ごせるものをお選びになると良いと思います。

◉ ノンワイヤーブラ

「乳がん経験者用」の「ノンワイヤーブラ」は「パッドが入れられる大きめのポケット」「胸元までカバーできるフルカップ（術部を保護する）」「（身体への負担を軽減するために）幅広の肩紐」「（傷にあたっても痛くないよう）アンダー部分が幅広」などの工夫がされています。

「全摘（再建なし）手術を受けられた方」や「温存手術を受けられて部分的にパッドが必要な方」は専用パッドに合わせて作られているノンワイヤーブラもありますので、専用パッドと一緒の装着感を試す事で、より快適な自分に合うブラを見つけられると思います。

また、一例ですが、ドイツの「Anita」社のものは、とにかく「心地よさ」が重視されており、より肩への負担が少なくなるよう肩紐にクッションのような加工がされていたり、着け心地がとにかく柔らかくストレスフリーに作られています。

その分やはりお値段もお高めですが、「快適さ」にこだわりたい方にはそれだけの価値があると思います。他社製品はダメでも「Anita」のものなら大丈夫、という方も多いようです。

（「ブランド」という付加価値がお値段にプラスされる洋服とは違い、下着のお値段はわかりやすく「使われている素材」等に比例しているそうです。）

でも、心地よくはありますが、残念ながらラインはいまひとつだったりもします。必ず試着してご確認ください。

「乳がん経験者用」の「ノンワイヤーブラ」は基本的にどの術式を受けられた方にも幅広く対応できるように作られているので、受けられた術式やご自身の状態によっては必要のない「機能」もあります。

大きいパッドを入れるポケットは必要ないという方もおられるでしょうし、フルカップである必要のない方、肩紐が幅広である必要のない方もいらっしゃると思います。

そういう場合は自分にとって必要な「機能」のある一般製品を選ぶ事も可能ですが、サイズがピッタリである事はもちろんのこと、術後は以前よりも肌のバリア機能や免疫力が落ちていたりもするので、素材選びや着け心地には注意が必要となります。

 ◉ ワイヤーブラ

「乳がん経験者用」の「ワイヤーブラ」は現時点で選択肢があまりありません。

どの術式を受けられた方にも幅広く対応できるように作られているのは「リマンマ」の製品で、ソフトワイヤーが外付けになっている「アウトインワイヤー」が特徴です。

乳がん経験者さんが開発されているものはいくつかあり、様々なパッドが入れられるよう、大きめのポケットを付けて加工した「avoir アボワール」や、

「全摘（再建なし）手術」「温存手術を受けられ部分的にパッドが必要な方」ならバストメイク型シリコンパッドと立体カップブラジャー（オーダーメイド）の「BRALABO」、「全摘（再建なし）手術」を受けられた方であればスナップ付きのオリジナルのパッドとセットの「乳がん.com revive」の製品等があります。

また、「下着のアン」には「ポケット加工付き」のワイヤーブラの取り扱いがあります。

他で選択肢を探すとなると、自分にとって必要な「機能」のある一般製品を探すことになります。もしくは一般製品に自分にとって必要な「機能」をプラスして使用することになります。

（一般の製品にポケットをつけてくれるサービスや一般の製品に合わせてパッドを作ってくれるサービスもあります。）

術後落ちついてから自分に合うものを見つけて一般製品に戻るという方も多いようですが、

ワイヤーブラの場合は特に、受けられた術式やご自身のお胸の状態によっては自分にピッタリの物を選ぶのが難しくなることもあり、「デューブルベ」等のセミオーダーメイドのものを選ばれる方もいらっしゃるようです。